
窓の家がやさしいね #13 ぽっかり空いていた
#13
ぽっかり空いていた
のんびり待とう
と言いながら、あの街のことばかりが頭をよぎる
遠足から数週間が経とうとしていたある平日の夜、気になる土地が出てきた
ひょっこりと
のんびり屋の私たちはこの数週間、土地はのんびりし過ぎると無くなっていく、と学んでいた
のんびりしてはいられない
週末に一人で行ってくる、と言う夫
土地を見に行く旨を連絡すると、不動産屋さんから別の土地が送られてきた
ふわ
なんだか胸のあたりが落ち着かない
またあのふわふわさんがやってきた
やっぱり皆んなで行こう
そう言ったのは前日の夜だった
遠足、再び
春の陽射しが少し暑い
ベビーカーの中ですやすや眠っている子どもを時々のぞきながら、2軒目の土地に向かっている
住宅街の中に一際目立つ、ぽっかりとした空間が広がっていた
まだ何も建っていない、ぽっかり空いたその土地に立つ
手を広げる
空を見上げる
ちょっとおどける
あるいてみよう
私たちは歩いた
広い校庭のある小学校、野球少年たちがいる公園、ちいさなパン屋さん、
のんびり屋さん、のんびりしてはいられないよ
そう言って私の中のふわふわさんは去っていった
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