いつかのこと

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家を買おうと思うんだ #8 子供が産まれる前に

#8

子供が産まれる前に

少し焦っていたのかもしれない。

子供が産まれる前に家を買おうじゃないか。と僕たちは思い始めた。引越しも済ませて子供を迎えるという素晴らしいプランである。思い立ったらすぐ行動してしまう僕たちはさっそく土地探しを始めた。建物(ハウスメーカー)は“無印良品の家”である。結果は、購入直前で「もう少しのんびり考えようじゃないか」となるのである。

木の家 – 無印良品の家

なんとも魅力的な家である。

“縦の家”も魅力的な家であったが、“木の家”はなんとも広々していた。走り回る子供の姿を妄想するとニンマリしてしまう。ニンマリとはどういう顔か。想像してみる。ま、なんともニンマリなことか。ニンマリという言葉があるのかないのかはさておき、“広々”である。正確には“広々”をさらに感じさせてくれる空間である。

“木の家”の情報を集め僕たちは話し合うのである。土地探しは、担当さんからの最新情報とインターネット検索情報で、“かくれんぼ”大会が行われるのである。いや、“みいつけた!”大会のほうがニュアンスが近いのかもしれない。そして、Googleマップの偉大さを目の当たりにするのである。Googleマップとは、なんとまあ視覚的どこでもドアであることか。数年後、視覚的どこでもドアはどうなっていることであろう。

気になる土地を実際に見に行き、環境をしっかりチェックする。うん、気に入った、どーんと札束を渡してここ買ったー!となれば話は早いのですが現実はそう簡単なものではなく、“いろいろ”あるのである。

もう少しのんびり考えようじゃないか

少し焦っていたのかもしれない。

僕たちは大事なことを忘れていた。子供のこと、環境のこと、今後のこと、まではしっかりと考えていたのだが、“僕のこと”、“私のこと”、を少し忘れていた。いや、“忘れてていいのだ”、と思っていたのかもしれない。僕はまじめではあるがまじめではない。そのことは僕が一番わかっている。頭の中では“小さな僕”がオトナな僕にちょっかいをかけてくるのだ。やめろ、僕はもうオトナだぞ、子供が産まれるのだぞ、パパだぞ、ちょっかいはやめたまへ、僕はまっとうに生きるのだ!ん、まっとうってなんだ?まっとうという漢字も書けないくせに生意気なオトナめ、というか僕は僕であるために勝ち続けなければならないのではないか、頭の中でメロディが流れている、あぁ歌おうじゃないか。そう、僕は僕でたたかっていたのである。結果、僕は、“小さな僕”を受け入れたのである。“小さな僕”は言う。住みたい家はどんな家だい?

“三角屋根”である。