小さな彼は名前を呼ばない

電車が好きになった
いつのまにか
最初は新幹線だったと思う
一日中“しんかんせん”と言っていた
散歩中に電車を見ると目をキラキラさせていた
機関車のアニメがあることを知った
“しんかんせん”という小さな彼に、“きかんしゃだよ”と教える
そのうち、登場人物の名前を次々と覚えていった
まだおぼつかない発音で一生懸命わたしに教えてくれる
ふむふむ、と感心して聞いている
ふと気づいた
小さな彼は、主人公の名前だけ呼ばない
教えても
教えても
むぅ、と黙ってしまう
なんだろう
なんでだろう
いつのまにか
主人公のことを“ぽっぽー”と呼ぶようになった
なんだろう
なんでだろう
あいかわらず名前は呼ばないけど
“ぽっぽー”と呼ぶその顔があまりにも嬉しそうだから、これでいいなと思う
理由はまたいつか、聞いてみよう
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