窓の家を建てる

#25 引き渡しの夜
完成したおうちを、はい今日からあなたのものですよ、と渡される
-引き渡し
そう分かってはいても、現地に到着するまで本当にできてるのだろうか?と、どきどきしていた
私たちはまだ完成した家を見ていない
小雨が降ってきた
傘は持っていない
白い三角屋根のおうちがそこにあった
雨が強くなってきた
私たちは感動する間も無く、家の中に入っていく
ガス屋さんにネット回線に宅配便…時間指定していたはずが、バタバタバタバタ
手続きを終えて家の鍵を受け取り、あっという間に家族3人の時間になった
ひと息つく
なんだかまだ家が寒い
-あったかいものでも飲もうか
お湯を沸かそうと立ち上がるもあっちこっちに、そわそわそわそわ
-買い物にでも行こうか
お出かけの準備を整えて戸締りをするまで、あたふたあたふた
落ち着かない
ごーごー、ごーごー
もう帰ろうよと小さな彼が泣いている
ぽっぽ、ぽっぽ
連れてきた彼の大切なぽっぽを手に持っているのに呼んでいる
ごーごー、ごーごー
ホームシックだった
新しい家にはまだ何もない
雨は止んだらしい
引き渡しを終えた夜に、考える
少しずつ、少しずつ
暮らすって、そういうことなんだろうな
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