夏の終わり
私たちは比較的近所にある初めての道を早足で歩いていた
時間に十分間に合うように出たはずなのに、ギリギリかもしれない
早足のせいか焦っているせいか、少し暑い
夏の終わりに羽織るカーディガンは、いつも出先で後悔します
家見れるんだね 見てみようか
軽い思いつきで申し込んでみた
モデルハウスって言葉を口にするのも初めてで、靴下は履き替えたほうがいいのかな、人は住んでいるのかな、何か書類とかハンコとか要るのかな、かな、かな…
止まらない疑問と共に、私は少し浮かれていた
少し暑いのは、そのせいかもしれない
隣を歩く夫は、地図アプリの道案内を頼りに私たちを導いてくれる
私たちはとにかく着いて行く
きっかけはいつだって、思い出せないくらい何でもないことで
今思うと
私から“私たち”になったから、かもしれません
夏の終わりのおはなし