土手の上から花火を見つけた
花火を見るために土手に行ったのか
たまたま見つけた花火だったのか
どっちだったかな
小さなちいさな花火だった
私たちは、花火の方へ歩き出した
少しでも近づこうと
真っ直ぐまっすぐ、花火を追いかける
いつまでたっても花火は小さいまんまで
道もだんだん暗くなってきて
どこかもわからない道をとにかく進んでいて
このままでは終わってしまう
私たちはさらに追いかけた
花火というのは不思議なもので
追いかけているはずなのに、どんどん遠ざかっているように感じるのだ
何駅、何キロ追いかけたんだろう
“上まで行こう”
指差した先はスーパーの屋上
エレベーターで上がると、そこは駐車場になっていた
花火はまだ続いていた
フェンス越しに見る花火は
土手より少し大きかった
少しだけ
花火に追いついた