ないなー
ないなーないねー
ちいさな彼は探している
大切なおもちゃが入っていた、大切な箱を探している
たいせつなもの
おもちゃの箱がたくさんある
本の付録がたくさんある
可愛いポケットティッシュの包みが置いてある
段ボールに入っていたプチプチさんが転がっている
破れてしまったシールの半分が床に貼ってある
必要なものだけの生活
余計なものを置かない暮らし
不要なものは処分する習慣
必要なものって、なんだろう
不要なものって、なんだろう
おかたづけ
小さな入れ物を4つ買った
ちいさな彼にとっては大きいのかもしれない
マスキングテープに車と電車とアンパンマンと汽車の絵を描いて、ぺたーっと貼った
ちいさな彼は“たいせつなもの”たちをどんどん入れていく
仕分けを終えた彼は満足そうだ
そしてまた入れ物をひっくり返して遊び始める
これはここ
これはどこ?
これ、ぽい、ね
少し経って
小さな箱を握りしめてこう言った
大切にしているのだと思っていた
― 本当にぽいするの?
しつこいぐらいに聞いてしまう
ちいさな彼は何度もうんとうなづいた