ぽっかり空いた土地に立っている
私の頭の中には、“窓の家”がやさしく建っていた
無印良品には3つの家がある
それぞれ特徴がはっきりしていて、シンプルな美しさがある
最初は“縦の家”に一目惚れした
階段で左右に仕切られた空間はとても面白く、魅力的にうつった
居心地が良すぎて、このまま住みたいとさえ思った
ただお腹の中に育っている子どものことを思うと、段差の多さが気になっていた
実は、今だから、の話だけど
それからすぐに広い土地が見つかると“木の家”しかない、と思った
開放的な窓と広いリビング
のびのびと暮らしている、いつかの姿が想像できた
とにかく急スピードで進みそうだったところ、ぐいっと踏みとどまった
理由はいろいろあった
ひとつ言えるのは、あの場所では安心して、いってらっしゃいできなかった
実は、今だから、の話だけど
そして今、何もないこの場所に立った瞬間に“窓の家”がそっとやって来た
白い三角屋根のおうちに窓がぽん、ぽん
曲がり角を曲がると、いつもそこにある白い三角屋根のおうち
おうちに帰ろう
やさしい暮らしが始まる予感がした
子どもが生まれる前から書き綴っているノートがある
何となく裏返すと
お気に入りの茶色いペンで
三角屋根のおうちが描いてあった