無印良品の家と暮らす

空からあなたが降ってこないかな、のこと。

文 / 亜矢乃
写真 / yume
モデル / 亜矢乃

空からあなたが降ってこないかな、のこと。

からあなたが降ってこないかな

くるくるまわる
あなたが空から降ってこないかな
あなたを想う


くるくるまわる
雨乞いのように
あなたたを乞う
空からあなたが降ってこないかな、のこと。

るために昔の人たちは踊ったという

雨が降りますように
平和でありますように
死者のために
さようなら
ありがとう
またね
さようなら
だって、でも、なんで、なんで私だけが、ずっと、 ずっと
っていつまで?
変わらないものなんてないよ

言葉、がいつの間にか
私の頭からつま先までどんどんどんどん侵食してゆく

鏡に映るアタシの顔。
これ、誰?
私はアタシの言葉に飼い殺された。

もう人を傷つけてはいけない
もう自分を苦しめてはいけない
終わらない連鎖
終わらせる勇気

空からあなたが降ってこないかな、のこと。

女かよ いい歳こいて

弟が私に吐き捨てる
吐き捨てる
思いを吐き捨てる
くるくるまわる

想いを吐き捨てる
吐き捨てる
ぐるぐるまわる
あなたの顔が浮かぶ
ぐるぐるまわるあの笑顔
笑顔がぐにゃぐにゃになるまで
踊り捨てる
踊り捨てる
自分を捨てることが一番難しい

の裂け目

あなたの感触がアタシを閉じ込める
あなたの匂いがアタシを縫い閉じる

アタシは はりつけ針だらけ
動けない ただの肉の塊

さぁ空に向かって抜け出そう
空がささやく

感触がアタシを追いかける
あなたが遠くなる 遠くなる
あなたの匂いが見えなくなる

感触を瓶に閉じ込めて さぁ空に投げるんだ

せーのでポイ!

そして私は跳び続けるんだ

跳べば跳ぶほど、
アタシが一緒に雨と流れてゆくのを身体で感じる。
まわればまわるたびに
風と一緒にアタシ、が夜空に消えていく。
闇より深い空の裂け目に包まれて
私は気が遠くなる。
私はアタシから遠くなる。
まわれ、まわれ、
踊れ、踊れ、私。
さぁ明日を祈るように踊るんだ。
踊る。 踊れ。

肉体から剥ぎ取られてゆく言葉たち

冷たいコンクリートの上に
私の身体が横たわる。
熱い息、荒い鼓動。

いつかは消えてしまうこの身体。
風が吹くように 雨が流れるように

自分を刻む必要なんかない
記憶に残る必要もない
だってなんにもないかもよ?

風は吹く 雨は降る
いつかは失うこの記憶。

荒い息、夜空に映る私の顔

誰だこれ。
これも私。
それもワタシ。

なんだこんなことか。
夜空が笑う空の裂け目。

せーのでポイ!

空からあなたが降ってこないかな、のこと。

るくるまわる

雨乞いのように
あなたたを乞う

くるくるまわる
空からあなたが降ってこないかな
あなたを想う

information

亜矢乃 出演情報

映画「おみおくり」伊藤秀裕監督公開中
http://www.exf.info/omiokuri/

6月にドイツ戯曲朗読公演

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