
文 / ぼくを
写真 / yume
モデル / 由利尚子

ボク、モクな日 の、こと
光が漏れている
布が少し揺れている
人が会話をしている
白い壁
木の椅子
ノートパソコン
わら半紙
天井
電球、紙、糸、布、
まるで空を飛んでいるようだ
電気が消える
空間は静かになっていく

彼女はゆっくりと歩いてる
少しだけ手を広げている
まるで空を飛んでいるようだ
彼女は笑っている
とても楽しそうだ
彼女は何かを見る
ずっと見ている、長い時間
彼女は笑っている
彼女は小さな声でつぶやいている
(人に聞こえなくてもよい)

彼はゆっくりと歩いている
彼女を見ている
(人に伝える必要はない)
彼はそのままキッチンに消える
彼女はずっと何かを見ている
コーヒーを淹れている音がする
(彼女はつぶやくのをやめる)
彼はキッチンから出てくる
彼は椅子に座る
彼「ボクはコーヒーを飲んでいる」
彼女はまたつぶやきはじめる
映像が流れる
彼はコーヒーを飲んでいる
彼はわら半紙を手に取る
一枚ずつ声にだして読んでいく
(そこには日記が書かれている)
・今思っていること
・子供の頃に感じたこと
・友達のこと
・親のこと
・なりたかったこと
・笑ったこと
・怒ったこと
・地震のこと
・世の中のこと
・空のこと
・車のこと
・飛行機のこと
・なりたいこと
・やりたいこと
・夢
・好きな色
・好きな本
・好きな言葉
・雨のこと

映像は流れている
彼女はつぶやいている
少しずつ言葉が重なっていく
音がなくなる
彼女は笑っている
彼はコーヒーを飲んでいる
エンドロールが流れている
note
「ボク、モクな日」
2016年5月に舟見和利と由利尚子の二人による展覧会「ボク、モク、展」で上演されたインスタレーション作品である。
▼125naroom #2 「ボク、モク、展」
https://125naroom.com/soro/1148
次回作品は企画中である。
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